「エフィカシー」という言葉を知っていますか?英語「efficacy」が語源で、直訳すると「効能」という意味になります。「セルフ・エフィカシー」という形では「自己効力感」という意味になります。
「エフィカシー」の語源は英語「efficacy」です。 「efficacy」は「(薬などの)効能、効力、効験」という意味です。 英語「efficacy」の語源はラテン語「efficacia」です。
「セルフ・エフィカシー(self efficacy)」とすると、「ある状況において自分が特定の行動をうまく遂行することができると認知すること」です。 少し難しいですが、分かりやすくいえば「自信」のことです。 自分の過去の実績や現状の能力は関係なく、自分はこの状況に対処することができると信じられることを指します。 日本語では「自己効力感」と訳されます。「自己効力」「自己可能性」などとする場合もあります。
「自尊心」とは「自分を尊び他から干渉をうけないで品位を保とうとする心理や態度」です。 言い換えれば「プライド」です。 「セルフ・エフィカシー」は「自信」の一種なので、類語にあたりますが、意味は違います。
「自己肯定感」は「自らの在り方を積極的に評価できる感情」で、「セルフ・エフィカシー」と意味がかなり近いです。 ただし「自己肯定感」の方が意味が広く、「セルフ・エフィカシー」を内包します。 「セルフ・エフィカシー」は「自己肯定感」の一種です。 自信>自己肯定感>セルフ・エフィカシーの順番で意味が狭くなります。
セルフ・エフィカシーの高い人は、仕事や勉学の面で目標達成をすることが出来ます。 自分は仕事や勉強の目標達成をするための努力できるという確信を持っています。 目標達成する実力が現在なくても、セルフ・エフィカシーが高いと結果的に実力がつくことを意味します。 たとえば、仕事において任せられた仕事が達成できるかどうかは分からなくても、自信を持ってコミットすることが出来ます。今までやったことのない仕事や前人未踏の分野でも果敢に取り組むことができます。 セルフ・エフィカシーの高い人は自分の行動や意思決定に迷いがないので、目標達成するまで努力を継続することが出来ます。
まず、セルフ・エフィカシーが高い人は精神的に健康な人が多いです。 自分の行動に自信があるため、不安な気持ちや恐怖心を抱かず、「どうしよう…」と悩んだり気が滅入ったりすることがありません。 例えば、自分が担当している仕事がうまくいかなかったとしても、成功に向けた自分の行動に迷いがないため憂鬱な気持ちになりません。 そして、精神的な健康が肉体的健康にも良い影響を及ぼします。 心に悩みがないと、自律神経が整い心拍数が安定する傾向にあります。 「病は気から」という言葉があるように、精神が健康を及ぼすことはよく知られていますよね。 そもそもセルフ・エフィカシーが高い人は、健康的な行動を継続できる自信を持っています。 そのため、ダイエットや喫煙、歯科衛生、避妊具の着用などを日常生活の中で徹底することが出来、結果的に健康になります。
セルフ・エフィカシーが高い人は人間関係も良好です。 職場において自分自身は必要な人材であることを認知できます。 そのため、周りと自分を比較して他人に嫉妬をしたり、揚げ足を取ったりするようなことはしません。自分の評価を上げようと取り繕ったり見栄を張るようなこともしません。 さらに上述したように、相手から喧嘩を売られるようなことがあっても取り合わず、冷静に対処をすることが出来ます。 そもそも人間関係においてセルフ・エフィカシーが高い人というのは、自分自身が相手との良好な関係を築けると本気で信じているため、相手のことを信頼した発言や行動をします。それによって相手からも信頼されることが多くなります。 万が一、対人関係にトラブルが生じても一方的に相手を責めたりするようなことはせず、お互いの価値を認めたうえで話し合いが出来ます。そのため早い段階で解決や改善が出来ます。
セルフ・エフィカシーが高い人は恋愛上手でもあります。 というのも、セルフ・エフィカシーの高い人は好きな人への告白を成功させるための行動を自分が出来ると信じています。 たとえ、脈アリではなかったとしても振り向かせるための行動をすることが出来ます。そのため相手が振り向く可能性が高くなり、結果的に恋愛が上手くいく傾向にあります。 さらに、恋人関係になってからも自分自身が相手との関係を良好に保つ努力をすることが出来ると思っています。 またセルフ・エフィカシーが高い人は前向きな発言も多いことからモテます。
先程も言いましたが、セルフ・エフィカシーが高い人はネガティブな発言をすることがありません。 ポジティブな発言が多く常に前向きに努力しているので、周りに対して良いエネルギーを発しています。 そのため周りにいる人も幸福感が高くなり、自信がついて前向きになるためセルフ・エフィカシーが高くなります。 そして、集団の中でセルフ・エフィカシーが高い人が多くなってくると、ネガティブな人や他人を妬んでばかりいるような人はいづらくなり、深く関わらないようになってきます。すると周りにはセルフ・エフィカシーが高い人ばかりが集まり、常に会話はポジティブなものになっていきます。 その連鎖が続き、周りの人も常に良い環境に身を置くことが出来ます。
セルフ・エフィカシーを高めるには、まず目標設定をすることが大事です。 なぜなら目標に向かって努力することが出来る認知の高さがセルフ・エフィカシーの高さだからです。 例えば仕事なら「毎月余裕を持ってノルマを達成する」「3年以内に昇進する」といった目標を設定し、それに向かって自分が頑張り続けられると信じることです。 まずは自分がどんなことをしたいのか、どうなっていきたいのか目標をリサーチしていきましょう。 今ある仕事をこなすだけでなく、人生の目標なども設定していくといいです。読書などをして知識を身につけ、視野を広げると目標も設定しやすくなります。 そしてそれに対して計画をすることも大事です。闇雲に目標に向かって行動をしても達成感を得られません。
セルフ・エフィカシーを高めるには、できることから始めてみましょう。 というのも、コンフォートゾーンにいることが大事です。コンフォートゾーンとは「居心地のいい場所」のことで、心理学で言うストレスがなく落ち着いた精神状態でいられる場所のことを指します。 「自分なら努力することが出来る」と思うためには精神面を安定していた方がいいので、できることを始めて「自分できてる!」と快適な状態を保ちましょう。 また、一人の人間が得意なことはいくつもありません。 自分の”分”を知ることも大事ですので、できることから始め自分のできることを知っていくといいでしょう。 そして成功体験を積み上げることで、セルフ・エフィカシーが高まっていきます。
セルフ・エフィカシーを高めるには、自分が努力し続けられる環境づくりが大事です。 そのためには目標達成までの作業自体にテンションが上がるようにしましょう。 手っ取り早く出来るのは「五感が幸せになることをする」です。 五感とは「視覚」「嗅覚」「触覚」「聴覚」「味覚」の5つのことで、それらが喜ぶことをしましょう。 例えば好きな香りの香水を振って出勤をしたり、好きなコーヒーを飲んだり、好きな景色やアーティストの写真をすぐ見れるようにしておくなどがあります。 五感は脳と密接な関係にあるため五感に良い刺激を与えることで脳の働きが良い方向にいくので、作業する時にテンションを上げることができます。
セルフ・エフィカシーを高めるには、自分のことをしっかりと把握する必要があります。 自分の良い部分と出来ない部分を理解し改善をしていかなければ、ちゃんとした自信を得ることはできません。 そのため、普段から振り返りを行うクセをつけましょう。 例えば仕事でミスをした際は、ちゃんと受け入れて反省したうえで「どの作業工程がだめだったのか」「何をどうすればよかったのか」を考えましょう。 また仕事以外でも反省をして改善をするようにしましょう。 例えば人間関係でトラブルがあったとしても、相手を責めるだけでなく「もっといい言い方があったな」「もう少し相手の気持ちを考えるべきだった」と自分の言動を振り返りましょう。
セルフ・エフィカシーを高めるにあたってロールモデルを見つけるのもひとつです。 ロールモデルとは、考え方や行動の模範となり「ああなりたい」と目標にする存在のことです。 手本となる人物を作り憧れることで、相手の言動に影響を受けて成長することが出来ます。 そしてロールモデルを観察し学んだ行動技術を実践することで、行動への自信がついてきます。さらに行動をしていくうちに、自分自身の行動パターンを新たに構築していくことが出来ます。 その結果、セルフ・エフィカシーが高くなっていきます。
セルフ・エフィカシーを高めるには、むやみに人とつるまないようにしましょう。 一匹狼になれ、ということではなく、無駄な人付き合いはしないことです。 人とつるんでいると、相手に気を使ったり自分の意見や考えを押し殺したりすることもあります。さらに相手と自分を比較してしまったり、自分に必要のない余計な情報も入りやすくなります。 そういった部分が精神的に苦痛になり、ネガティブ思考に陥ってしまうことがあります。 必要な人間関係を無理に切る必要はありませんが、セルフ・エフィカシーを高めたいなら人との付き合い方を考え「つるむ」といったことはしない方がいいです。
セルフ・エフィカシーを高めるために積極的な言葉を使うようにしましょう。 消極的な言葉は自信をどんどん失っていきます。 たとえ達成するのが難しいと思うような仕事であっても「私にやらせてください」「頑張ってみます」「大丈夫です」と言いましょう。 「言霊」という言葉がありますよね。昔から「言葉には霊がいて、言葉にあらわすことを現実に実現する」という言い伝えが信じられています。極端に言えば「積極的な言葉を言えば積極的になれる」ということです。 自分が発した言葉は自分自身の耳にも聞こえてくるので、ポジティブな言葉を使っていると前向きになることが出来ます。
セルフ・エフィカシーを高めるためにおすすめなのがアファメーションを実践することです。 アファメーションとは肯定的な言葉を自分に投げかけることです。 例えば「私は堂々としていられる」「私だからこの仕事が出来る」といったような肯定文を自分に投げかけ続けることで、健全な思い込みを作ります。 人の思い込みの力は無意識に積極的な言動をさせてくれるようになります。 また、鏡の実験というものはご存知ですか? 鏡に映る自分に向って肯定的な言葉を言い続けることで潜在意識がそれを事実だと思うようになります。 最初は嘘だって、口だけだって大丈夫です。とにかく自分に向かって「今日も素敵だ」「仕事ができるね」と褒め続けましょう。気付いたらとてもポジティブになっていてセルフ・エフィカシーが高まっています。
またセルフ・エフィカシーを高めるために日頃から出来ることがあります。 それは運動やヨガをして気分を高揚させることです。 体調管理とも言えますが、特に体を動かしてストレスを発散し気分を高めることは、セルフ・エフィカシーを高める効果があります。
セルフ・エフィカシーを高めるにはイメージングも大事です。 自分が成功している明るい未来をイメージしていきましょう。 目標を設定したあと、それが成功してうまくいっているイメージが出来ないと前向きに努力することは難しいですよね。どうしても「うまくいくかな…」と不安になってしまう人は、毎日自分の明るい未来をイメージしてみてください。 頭の中で考えただけで何の意味があるの?と思うかもしれませんが、実際にイメージをするだけで気持ちは晴れ、実現するための行動が出来るようになります。
セルフ・エフィカシーを高めるには、自分を信じてくれるパートナーを見つけるといいでしょう。 自分以外の人が、自分を信じてくれているとそれだけで精神は安定します。 例えば心が折れそうになるようなことがあっても、「あなたなら大丈夫」と言ってくれる人が傍にいると安心しますよね。
セルフ・エフィカシーを高めたいなら、コーチングを受けるのも一つです。 自分でいきなり始めようと思っても難しいですよね。 なのでプロに任せてセルフ・エフィカシーを高めていきましょう。 何度も言ってきていますが、セルフ・エフィカシーとは目標達成をする力ではなく目標達成に向けて自分が努力できると信じることです。 要は実力よりも精神力や自信の方が大事になってきますので、メンタル強化をしてくれるコーチングを受けるといいでしょう。
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