「器用貧乏」という言葉の正しい意味を知っていますか?「器用」=褒め言葉と勘違いし羨ましいと感じている人もいるのではないでしょうか?「器用貧乏」を自分で言うのはアリなのでしょうか?誤用が多い「器用貧乏」の意味と類語、そして器用貧乏な人の特徴も解説していきます。
「器用貧乏」の意味は「何でも器用にこなすことが出来るが、これといって優れたものがないこと」です。 そして「なんでも出来ることから、色々な人から利用されてしまい自分自身は大成しない人のこと」を指して使われています。 何でも卒なくこなすことが出来ますが、ひとつの事に集中できずどれも中途半端になってしまう人のことを「器用貧乏」と言います。「巧者貧乏(こうしゃびんぼう)」と言われることもあります。
「器用」という言葉が使われていますが、褒め言葉や長所を指す言葉をしてあまり使われません。 むしろ、「器用なのにもったいない」といったニュアンスで使われています。 また、「貧乏」とありますが、実際にお金がないということでもありません。 「器用貧乏」は仕事などでよく使われる言葉ですが、恋愛面などでも使われています。 人の話を聞いたり合わせることが上手なので、恋愛の相談相手にはうってつけです。 しかし、相談を乗ることが上手すぎるが故に人の恋愛を成就させたり問題解決ばかりで、異性からは「いい人」で終わってしまうことも。 そんな「器用貧乏の人」とはどういう人なのか、特徴をまとめていきます。
「器用貧乏」は本来は意味的にネガティブなので、自分に対して使用した場合は謙遜になるはずなのですが、「器用になんでもこなせる」といった意味が含まれています。 そのため自分自身に使うと「私は器用で何も出来るから」といったニュアンスが含まれてしまい、相手は「自信満々だなぁ」「自慢かなぁ」「謙遜してるふりして自分の才能を褒めている」などと思ってしまうことがあります。 ですので、自分のことを「器用貧乏」と表現するのはやめましょう。
●多芸は無芸 意味:多芸の人はかえって一つの芸に精通しにくく、これといった優れた芸を持っていないこと 多くの芸に通じていると、特定の一つを極めることをせずに中途半端なため、結局は無芸であることと等しいという意味のことわざです。 ●小器用 意味:何でも一通りこなせてしまうこと、少し器用なこと 小手先がきき、なんでも上手には出来ていることを表します。 しかしその事自体を評価していない場合に使われる言葉で、褒め言葉ではありません。 ●鼯鼠の五技(ごそのごぎ) 意味:多くの技を持っていても、特別優れた技がないこと 語源:「鼯鼠」はむささびのことです。 むささびは「木登り」「空を飛ぶ」「穴を掘る」「川泳ぎ」「地面を走る」という5つのことが出来ます。しかしどれも猿、鳥、魚、もぐら、人間には敵わないことから「5つの技を持っていても特技がないと平凡になってしまう」といった意味として使われています。 『梧鼠之技』『梧鼠之才』などとも言われています。 ●広く浅く 意味:知識や交友関係などにおいて、広範囲に及びながらも深く学んだり関わったりしないこと 「広く浅く」の対義語は「深く狭く」になります。 お問に人間関係において使われることが多くなっています。
●オールラウンダー 意味:多くの分野において有能であること、万能選手 スポーツの場面やビジネスの場面で主に使われている言葉です。 どの分野においても才能があり、どれをやらせてもトップになれる人がオールラウンダーです。 ●オールマイティー 意味:何事も完全に出来ること、全能であること 勉強もスポーツも仕事も何でも完璧に出来る人のことを「オールマイティー」といいます。 トランプでは最も強いカード(主にスペードのエース)のことを「オールマイティー」といいます。 ●八面六臂(はちめんろっぴ) 意味:ひとりで多方面にわたり働くこと、何人分もの働きをすること ここでいう「八面」は「8つの顔」、「六臂」は「6本の腕(肘)」のことです。元々は仏像などで8つの顔と6本の腕を持っている人のことを表していました。それが転じて、8つの顔と6の腕があるくらい何人分も活躍することのたとえとして使われるようになりました。 ●一芸に秀でる 意味:特定の分野や芸において優れていること 「秀でる」とは、抜きん出るといった意味があります。 「器用貧乏」が全てが中途半端であることの反対として、「一つの優れた才能がある」といった意味で「一芸に秀でる」を挙げました。
日本語の「器用貧乏」に似た表現が英語にもあります。 Jack of all trades and master of none になります。 「Jack」は「ジャック」という人名です。英語圏では「Jack」という名前が多いので、「何でもない普通の人」という意味で「Jack」を使っています。 「of all trades」は「あらゆる商売をしている」という意味になります。「trade」と聞くと「交換、貿易」という意味が頭に浮かびますが、もっと抽象的に「商売」という意味でも使います。 「master of none」というのは「何もマスターしていない」という意味になります。
He is Jack of all trades and master of none.
彼は器用貧乏だ。
器用貧乏な人は、飽き性なんですよね。 そのため、何か初めてはすぐに飽きてしまい次のことを始めてしまいます。 器用が故に、始めるとなんでもすぐある程度は出来てしまいます。その結果、あまりハマることが出来ません。 ハマってやり続ければ、どんどん上達していくのですが、飽きて次に行ってを繰り返しています。 器用だから飽きてしまい、飽きてしまうから器用貧乏となってしまいます。
器用貧乏な人は注意散漫なところがあります。 一つのことに集中してやり続けることが苦手です。 すぐに気が散ってしまい、何か作業をしていても他のことが気になってしまったりします。 そのため一つのことをひたすら行って上達させることが苦手です。 色々なことに手を出してしまうところがあります。
器用貧乏な人は、一生懸命努力することが出来ません。 すぐに上達させることを諦めてしまいます。 「まぁ、これくらい出来ればいいか…」と終わらせてしまいます。 それでも80点くらいの出来で、標準よりは出来ているので満足してしまいます。 これまでもある程度なんとなく出来てしまってきたことから、あまり努力する経験をしていないのでしょう。そのため忍耐力がありません。
やっぱり器用貧乏な人って他人にいいように使われてしまうところがあります。 何でも卒なくこなしてしまうため「これ手伝って」「あれもやっておいて欲しい」とちょっとした野暮用で呼ばれてしまうことがあります。 また、雑務なども例えば2人でやるようなところも1人でやらされてしまうなど、ちょっと不憫な事が多いです。 頼む側は「使ってやろう」と思っているわけではなく「○○さんに任せておけば大丈夫!」と思っていることが多いです。純粋に器用だからお願いしたい!と頼んできます。 そのため断りづらいこともあり、いいように使われてしまいます。
また、器用貧乏な人はなんとなくで全部出来てしまうので、人より早く作業が終わります。 さらに、やっている時も片手間で終わらせられてしまったりすることもあり、その様子から「サボってるんじゃないか」「全然集中していない」「やる気がない」などと思われてしまいます。 むしろ人よりも完成度は高いのに、残念すぎますね。 しかも器用貧乏な人って、ちゃんとやっているアピールも出来たアピールも下手なことが多いです。その為余計に勘違いされてうぃまうのでしょう。
器用貧乏な人は自己評価が低いです。 何か特別に優れているわけではないので、「自分には特技がない」「出来ることはない」と思っている事が多いです。 器用であるのも、努力して習得したわけではなく生まれつき器用なことが多いので、「自分は人よりも出来る」という自覚がありません。むしろ平均というか、人並みというか、それくらい出来て当たり前だと思っているところがあります。 何か一つだけ努力して習得した人からすれば、何でも器用にこなせるの凄い!と思うのですが、本人は「何も出来ないよ」と思っています。
器用貧乏な人は、どうしても一つのことに秀でておらず何か自分で極めようという気持ちがありません。 そのため、自分の器用さを生かしてお金を稼ぐことが出来ないんですよね。 そもそもそんなことを考えたことがない人も多いです。 本来なら、その器用な部分をもっと磨けば特殊な仕事や専門職としてバリバリ働けるタイプです。 しかし自信がなかったりすぐに飽きてしまったりすることから、手に職を付けることもなく、なんとなく就職してしまっている人も多いでしょう。
「器用貧乏」は基本的にはネガティブなニュアンスを持つ言葉ですが、軽やかに生きていきたい人にとっては都合のよい特性でもあるんです・・・! 器用貧乏な人を羨ましいと思う人も少なくありません。 そこで器用貧乏な人の長所、ポジティブな特徴を紹介していきます。
「器用貧乏の人」はとても要領がいいです。 そのため、様々なことをこなすことが出来てしまいます。 ビジネスシーンでも、自分の仕事以外のことを頼まれても要領が良いため卒なくこなしてしまいます。 しかし、それで給料が上がるわけでも出世するわけでもなく、得するのは頼んだ相手となるため「器用貧乏」となってしまいます。
器用貧乏の人は、視野が広いため様々なことに気付いてしまいます。 そのためビジネスにおいては、フォローをしたり先回りして仕事をこなしたりすることが出来ます。 日常生活においても、他の人が気付かないところまで気付いてしまうため、自分だけがそれを負担することになってしまうことも。 BBQなどで、気付いたら次の飲み物が冷えてた、野菜が切れてた、お肉が焼けてた、なんてことがありますよね。そういう場合視野の広い器用貧乏の人が何でもやってしまっています。
器用貧乏の人は飽き性ではありますが執着心がありません。 そのため「駄目だな」と思ったらすぐに気持ちを切り替えることが出来ます。 特に趣味などで多く見られ、やり始めるとなんとなく出来てしまいます。 うまくいかずに練習したり、出来るようになるまで頑張ってみたりする必要がありません。 そのため「絶対にモノにしてやる!」といった執着心が生まれません。
器用貧乏の人は好き嫌いがあまりありません。 何かを特別嫌がることがないので、何でもやることが出来てしまいます。 そのため、周りの人から頼まれたことも断ることなく引き受けてしまいます。 例えば仕事の担当であっても、飲み会の幹事であっても何でも出来てしまいます。 そして深く考えなくても出来てしまうので、本人も苦ではありません。
器用貧乏の人は何でも自分でちゃちゃっと出来てしまいます。 そのため、人に頼ることがありません。 あまり「これ出来ないな」と思うことがないので、どんな分野でも一人でやってしまいます。 周りからは「自立しているな〜」と思われることが多いでしょう。 不器用な人っていつでもみんなに助けてもらっていますよね。 むしろ器用貧乏な人は、自分のもこなしたうえで不器用な人のもフォローすることが出来ます。
器用貧乏の人は、とても気配り上手です。 周りで誰か出来ていないな、と感じたらすぐに声をかけて手伝ってしまいます。 その優しさと器用さに甘えて、みんな器用貧乏の人に手伝ってもらっちゃうんですよね。 とにかく今日で何でも卒なくこなせるので気持ち的にも他の人より余裕があります。 それもあって、周りをよく見ることが出来ています。
器用貧乏な人は、仕事もパパッとこなしますし他の人のフォローもできるので人間関係は比較的良好です。 何か特別秀でているわけではないので、嫉妬することもなければ、変に嫉妬されることもありません。 本人はプライドが高いわけでも、ナルシストなわけでもなく、本当に可もなく不可もなく…。 職場でも友人間でも、みんなとうまくやっていけるでしょう。 さらに、人間関係においても器用なところがあります。 相手が今何を求めているのかを察知して先回りしていたり、相手が言われたくないことなどを理解するので円滑にコミュニケーションを取ることが出来ます。 それってかなりのポテンシャルだとは思いますが、本人もそれが凄いという自覚もなく相手にも周りにもあまり気付かれない才能なので、自分だけが気を使い続けている「器用貧乏」になってしまいます。
器用貧乏な人の適職を紹介していきます。
器用貧乏の人はなんでも出来てしまうので、細かい作業をたくさんこなす事務職が向いています。 事務職は、書類作成や、他の部署の補助、総務的なことから受付、電話対応など、様々なことをするので全てを要領よくこなすことが重要視されます。 また、専門性は求められないため「広く浅く」なんでも出来る人が重宝されますので、「器用貧乏の人」にはうってつけです。 お人好しな性格から相手のために仕事をすることが苦ではないので、コピーや備品管理など頼まれた仕事もこなしてしまいます。
器用貧乏の人は、専門性はなくても様々な分野のことをある程度知っていたり出来ることがあります。 また、要領も良く適応力も高いため、営業における顧客や相手との関係を築くことができます。 そのうえ相手との会話も困ることがなく、また他人のために動く事ができるため、信頼や安心をしてもらうことが出来ます。どんな相手であっても、なんとなく話を合わせてうまいこと話せてしまいます。
器用貧乏の人は介護士に向いています。 もちろん、介護をする上で福祉の専門知識は必要となりますが、介護士の仕事って実はとても幅広くあります。 身体的な介助が必要な方には、日常生活から趣味まで介助をします。 相手によって必要な介助、また趣味や好みは異なりますので、ひとりひとりに合わせた介助をする必要があります。 また、そういった方と外出をしたり施設等であればイベント行事などもあります。 外出先で一緒に楽しんだり、イベント等の企画や飾り付けなども「器用貧乏の人」には出来てしまいます。
器用貧乏な人にはカウンセラーも向いています。 カウンセラーにはコミュニケーション能力だけではなく、人の気持ちを理解するために様々な知識や経験が必要とされます。 器用貧乏の人は一つに特化した特技はありませんが、バランス感覚がよいので、様々な相手と会話をしながら問題をあぶり出したり、助言をすることができるでしょう。 器用貧乏の人はあまり好き嫌いもないので、人の悩みを聞くという一見重い仕事に思えることも苦手意識をもつことなく進めることができます。
コンサルタントは、大きな企業から小さな団体までを相手にする仕事です。 それぞれから依頼を受けて、その会社や会社の問題点などを調査・分析をして解決策を見つけていきます。 さらに経営戦略や財政、人事など多岐にわたってその会社の成功を手伝うわけです。 広い視野と分析力が問われる仕事なので、多くのことを卒なくこなせる器用貧乏な人に向いているでしょう。 ひたすら資料収集をしたり調査をするための作業も出来ますし、まとめて資料を作ることもプレゼンすることも出来るでしょう。
マーケティングは様々な角度からの視点が必要となる仕事です。 お客さんが求めているものは何か、世の中が求めているものは何なのか、と市場調査をして商品企画などをします。 こだわりの強い人は自我が出てしまい、なかなか他人や世の中のニーズを把握することが難しくなります。 しかし器用貧乏な人は色んな事が出来ますし、飽き性なところがあるため「次はこんなのがいいんじゃなか」「こういうのも面白いんじゃないか」と日々新しいアイディアを出すことが出来るでしょう。
器用貧乏を解決するには、明確な目標や目的を持つようにしましょう。 元々器用で仕事が出来るタイプですので、目標や目的を明確にし邁進すれば達成も早いはずです。 一つのことを極めたり努力することが出来ないのは、目標や目的がないからでしょう。 目指すところがない限りは現状維持・現状満足になってしまいます。 そして、目標や目的を明確にできたらそれを達成するために頑張ってみましょう。 その目標や目的に必要のないことは後回しにして、達成に必要な物事からこなすようにしましょう。
器用貧乏の人を解決するには、人の頼みを断ることです。 まずは自分の仕事ややるべきことだけを優先しましょう。 そうすることで広く浅くにならずに、また自分のことに集中することが出来ます。 人の手伝いをするのも、頼まれるのもすごいことですが、やっぱり自分の実力を上げるためには自分自身に時間と労力をかけてあげるしかありません。 自分のやるべきことをやっていれば、頼み事を断られても悪く言われません。 万が一言ってくるようであれば、その人はまともではないです。 自分のやるべきことを他人い頼んでおいて怒ったり相手を悪く言うのはおかしいですよね。 自分に時間を使いましょう!
器用貧乏を解決したいのであれば、まず一つのことに集中してみることです。 様々なことに手を出してしまったり、手伝ってしまうことが「器用貧乏」の始まりです。 そのため、まずは一つのことに集中してみましょう。 他のことが気になったりやってみたくなっても、今やっていることが完璧になるまでは手を付けないようにしてみましょう。 とにかく、何かを始めたらその一つだけをやるようにしてみてください。
そして、一つのことが極められたら、次のことを極めていきましょう。 これをどんどん繰り返していけば、全て極める事が出来てオールラウンダーになれるでしょう。 器用だからといって、なんでもすぐに完璧になるわけではありません。 時間と努力が相当必要ですので、それなりの覚悟がいります。 しかし元々器用な分、人より習得は早いでしょう。 自分の長所を生かしてオールラウンダーになっちゃいましょう!
「器用貧乏」について理解できたでしょうか? ✓意味は「器用で何でもこなすが、一つに絞れず全て中途半端に終わること」 ✓そして「他人からの頼みを全て引き受け、自分自身の花を咲かせられないこと」 ✓器用貧乏の人は、要領も良く視野も広いが人の頼みを断れず執着心もない 「器用」であればそれは長所になりますが、「器用貧乏」となると自分の実力を生かしてきれていないということになってしまいます。 基本的に良い意味として使う言葉ではないので覚えてきましょう。